耐震改修事例②「高齢者向け返済特例」活用リフォーム
「高齢者向け返済特例1)」は、満60歳以上の高齢者を対象とした制度です。
耐震工事またはバリアフリー工事を含むリフォームをする場合、保証人なしで自宅等を担保にリフォーム資金を借り、元金の返済は申込本人および配偶者(連帯債務者の場合)の両名が、共に死亡したときに相続人が一括返済するか、または建物・土地の処分等によって返済する仕組みです。
月々の返済は金利分(令和2年9月現在、500万円借入れの場合耐震改修工事で3,791円、バリアフリー工事で4,625円)だけでよく、通常のローンに比べ月々の負担は大幅に軽くなります。
高齢者にとっては、生活資金を取り崩さずにリフォーム資金を獲得できるメリットがあります(表1)。
申し込みには認定資格者(リフォームカウンセラー)、高齢者住宅財団、住宅金融支援機構のいずれかによるカウンセリングを受ける必要があります。
これは、申込者と相続人が共に制度の趣旨と内容を理解してもらうと同時に、悪徳リフォーム業者排除の意味もあります。
この事例のS様ご夫婦(70才代)は、屋根の軽量化を含む耐震改修工事および室内改装工事を400万円の予算で計画していましたが、「高齢者向け返済特例」の説明により、この制度を利用して460万円を借入れ、総額860万円のリフォームになりました。当初、太陽光発電設備の搭載を計画した際は、自己資金を400万円以上出したくないという思いから断念していました。
しかしこの制度を知り、太陽光発電設備だけでなくオール電化設備・二重サッシ工事・バリアフリー工事等、想いの全てのリフォームを借入れの460万円で実現しました。
毎月の返済(金利のみ)は、平成24年(2012年)当時7,800円(令和2年9月現在、460万円借入れの場合、耐震改修工事で3,488円、バリアフリー工事で4,255円)でし
たが、太陽光発電の売電による収入が月平均15,000円あり、10年間は金利負担が売電で賄える稀なケースになりました。
また、耐震改修補助金、太陽光発電設備補助金、住宅エコポイント、耐震改修工事による所得税控除・固定資産税控除(住宅のみ)等総額で約125万円あり、実
質的な施工費は740万円となりました。
このうち、屋根の軽量化を含む耐震改修工事金額は約360万円でしたが、耐震関連の減税、補助金が約100万円あり、実質260万円の負担ですみました。
表1 「高齢者向け返済特例(リフォーム融資)」の主な融資条件等
資金使途 | ご自分が居住するための住宅をリフォームするための資金(限度額内で融資額に保証料等を含むことができます。) |
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対象工事 | 耐震改修工事またはバリアフリー工事を含むリフォーム工事 以下の(1)または(2)のいずれかの工事を含むことが条件です。 |
対象となる住宅 | 申込本人、配偶者、本人又は配偶者の親族が所有する住宅 |
融資限度額 | 1,500万円(住宅部分のリフォーム費用の100%かつ高齢者住宅財団が定める保証限度額まで) |
返済期間 | お亡くなりになるまで(連帯債務者を含みます) |
返済方法 | 毎月のお支払いは利息のみです。元金は申込本人(連帯債務者を含みます)がお亡くなりになったときに、相続人の方に一括して返済していただきます。ご返済の途中で繰上返済いただくことも可能です(手数料不要)。 |
年齢要件 | 借入申込時に満60歳以上の方(年齢の上限はありません) ※借入申込時に満60歳以上の同居する親族を連帯債務者とすることができます。申込本人が先に死亡された場合でも連帯債務者が月々の返済を継続することで、元金を一括返済せずに住み続けることができます。 |
抵当権 | 融資の対象となる土地・建物に住宅金融支援機構を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定していただきます。 ※抵当権の設定費用(司法書士報酬等)は、お客さまにご負担いただきます。 |
保 証 | 高齢者住宅財団が連帯保証人になります。 ※残債務全額の返済ができない場合は、相続人に代わって連帯保証人が残債務全額を一括して住宅金融支援機構に返済します。この場合、相続人は、連帯保証人からの請求に基づき、連帯保証人が住宅金融支援機構に支払った金額及び損害金を連帯保証人に返済していただきます。 |
物件検査 | 適合証明検査機関または登録建築士(適合証明技術者)の物件検査(適合証明)が必要です。 ※物件検査の手数料は、検査機関ごとに異なり、お客さまにご負担いただきます。 |
お知らせ
一般社団法人高齢者住宅財団が発行する「財団ニュース」に寄稿させていただきました。
http://www.koujuuzai.or.jp/publications/foundation_news/
特集 安心できる住まいのリフォーム
『耐震改修がもたらす有効性とその実例紹介』
~安心安全だけではない、精度の利活用による様々なメリットや効果について~
※以下よりダウンロードしてご覧いただけます。